【食品科学科】農産加工部門での実習の様子(H28)
【2016/6/16_梅シロップ前処理】
6月は梅が収穫できる季節です。本校では昨年度から梅シロップを販売しています。
梅を洗い、へたを取り、切り込みを入れ、冷凍する。ここまでの作業を今回はしました。次回の作業としては冷凍した梅と等量の砂糖を一緒に仕込みます。
完成をお楽しみに!
【2016/6/14_食品が固まる原理(ペクチン)】
1年生では食品が固まる原理について学びます。ジャムが固まる(ゼリー化する)のに必要な三要素のひとつである≪ペクチン≫について実験しました。
【写真1】試験管に果汁(リンゴ、ブドウ、モモ)を絞り出し中
【写真2】果汁と等量のエチルアルコールを入れ、混ぜ合わせたあと、白い綿のようなもの(ペクチン)が見えてくるので、それを観察
果実によってペクチンの多少は変わります。さらに果実の熟度によってもプロトペクチン、ペクチン、ペクチン酸と性質が変化します。
ペクチンは下表のように種類やゲル化の条件が異なります。
種類 | HMペクチン | LMペクチン | |
成分 | 天然、もしくは加工して少量のメトキシル基を除去したもの | pペクチンを加工して大量のメトキシル基を除去したもの | |
ゲル化の条件 | pH | pH2.7~3.5 | pH3.2~6.8 |
砂糖 | 55~80% | ― | |
ミネラル類 | ― | カルシウム、マグネシウム等に反応 | |
水溶固形分量 | 60%以上 | 8~85% | |
備考 | ペクチン量が0.7~1.5% |
ジャム等に利用されているのはHMペクチンです。では、LMペクチンはどんな食品に利用されているのでしょうか?ヒントカルシウムに反応して固まるということです。カルシウムを含む飲み物といえば牛乳。牛乳を入れて固まる食品といえば、そう!代表的なものとして≪フルーチェ≫があります。フルーチェ等に使われているペクチンにはLMペクチンが使われています。
いろんなところに固まる原理が利用されているんですね。
【2016/5/19_パン&加工品販売会実施】
この日の実習で製造したデニッシュパン(カスタード、チョコ、メープルの3つの味)を放課後に販売をしました。また、それに併せてこれまで農産加工部で製造してきた加工品も販売しました。販売品目および価格は以下のとおりです。
品 目 | 単価 |
デニッシュパン | @100円 |
ジャム(イチゴ、リンゴ、マーマレード) | @250円 |
筍水煮缶詰 | @700円 |
筍水煮缶詰(傷) | @400円 |
今年最初のパン販売とあって、実習室の内外には帰宅前の生徒はもちろん、農場当番や部活前の生徒たちであふれていました。
また、この日はジャムの試食もしました。どのジャムもおススメですが、イチオシはやはりマーマレードです!製造工程にひと手間加えたことで、若者でも食べやすい味となっています。イチゴジャムとリンゴジャムしか手に取らなかった生徒が、マーマレードを試食したことで、マーマレードも買ってくれたという場面がこの日だけで何度もありました。
購入していただくお客様へよりおいしいマーマレードを食べていただきたく、これまでのマーマレードをどのように改善したらよいかを課題研究の授業を通して取り組んでくれている生徒もいます。
地域のみなさまはもとより、全国のみなさまに愛されるジャムづくりを目指して、今後も研究を重ねていきます。
【2016/4_イチゴジャム、リンゴジャム /5_マーマレード】
ジャムは、果実中のペクチンが、酸と糖の作用によってゲル化したものです。そのため、ペクチンの性状や量、糖量・有機酸量(pH)がゲル化やゲルのかたさに大きな影響を及ぼします。このため、ペクチン・糖・有機酸をゼリー化の3要素といいます。
今年度より新しい機械(真空濃縮機)が導入されたことで、本校のジャムが変わりました。→変更点はコチラをクリック!←
≪イチゴジャム≫不動の人気を誇るイチゴジャム。ペクチンを使用していないため、従来品に比べて少し甘く感じる(Brix64程度)かもれません。
≪リンゴジャム≫昨年と比べて色もかたさも改善されました!イチゴジャムに次ぐ商品となるか!?(Brix60程度)
≪あまなつマーマレード≫3年生の課題研究でマーマレードを題材にしたグループが、本校のマーマレードの改善のために活動してくれ、製造について例年とは何点か変更したところがあります。まず、今回使用した品種は「紅あまなつ」というものです。また、ペクチン抽出の際にひと手間加えたことで、あまなつマーマレード特有の苦みをかなり抑えることに成功しました!若者にも受け入れられやすい味となりましたので、ぜひご賞味ください。(Brix60程度)
【2016/4/25_大豆の加工(豆腐製造)】
みなさんは豆腐がどのようにして製造されているかご存知ですか?豆乳とおからにわけたあと、どのようにしたら豆腐は固まるのでしょう?その原理を木綿豆腐と絹ごし豆腐の実習を通して学びました。
豆腐の製造工程およびかたまる仕組みについては次のとおりです。
1.前日に大豆を水に浸しておく。(吸水した大豆は組織が軟化する)
2.水に浸しておいた大豆をミキサーですりつぶす【写真①】。(すりつぶすことによりタンパク質が水に溶けだす)
3.すりつぶしたものを鍋で加熱する【写真②】。(加熱によってタンパク質の溶出量が増し、熱によるタンパク質の変性が起こる)
4.加熱したものをこし布でこし、豆乳とおからとに分ける【写真③】。
5.加熱した豆乳に凝固剤(a.にがり b.硫酸カルシウム(通称:すまし粉) c.グルコノデルタラクトン。aおよびbは塩凝固、cは酸凝固。)を投入し、絹ごし豆腐はステンレスの型枠に入れ蒸し【写真④】、木綿豆腐は木製型枠に入れ加圧【写真⑤】する。
6.蒸し終えた絹ごし豆腐は、水中で型枠から外す【写真⑥】。木綿豆腐も木製型枠から外して完成。
【2016/04/18~19_筍水煮缶詰】
筍(タケノコ)には種類がたくさんありますが、缶詰に用いられるのは以下のものがあります。
・孟宗竹(もうそうちく)
・淡竹(はちく)
・マダケ
・ネマガリダケ 等
缶詰用の筍は柔らかく灰汁の少ない香りや風味の優れたものが良いとされます。品質は初期のものがよく、収穫は地上に現れる前に掘り取られます。
本校が毎年缶詰実習に使用させていただいている筍は、検索サイトで[しまね たけのこ]で検索するとヒットする安来市島田町産の小筍です。大きな筍は根元は硬くて食べにくいこともありますが、小筍は根元まで柔らかくいただけます。
【販売価格等】
筍水煮缶詰 700円(Sサイズ、Mサイズ)固形量500g
筍水煮缶詰(傷)400円 固形量500g
<1.ボイル、水さらし>
朝採りされた小筍を沸騰してから60分ボイルし、その後、水を張ったタンクで急冷し、水さらしを行います。ボイルが不足すると、柔らかくなったり組織が崩れて原型を留めなくなることがあるので、しっかりボイルします。
<2.荒皮・甘皮むき>
先端を折らないように注意して、甘皮を残し荒皮(外の硬い皮)をむきます荒皮をむいた筍は水中に入れ感想を防ぐとともにキャリングを行います。
※キャリング:ボイル後24時間水さらしを行い、乳酸発酵を起こさせpHを低下させ、殺菌を容易にするとともに、チロシンを溶出させ白濁を防止する。
※チロシン:筍や液汁中にできる白色結晶物。有害物ではなく、人間の栄養上、準必須アミノ酸。
<3.調製・選別>
根部に残っている土、汚れ等をたわしで落とした後切り落とし、面取りを行います。
面取り後は計量し、サイズごとに分けていきます。
<4.肉詰め・脱気>
本校の筍水煮缶詰は固形量500gとしていますので、それ以上になるようにまず計量します。
計量された小筍を2号缶の中へパズルの要領で先端を折らないように詰めていきます。
肉詰めされた缶の中に熱湯をたっぷり入れ、脱気の準備をします。
準備のできた缶を脱気箱へ入れ、90℃で10分脱気をします。
【脱気の目的】
容器内の微生物を死滅させ、内容物の腐敗を防ぐ。加熱による内容物の風味、色沢の低下、栄養分の損失を最小限にし、有害微生物の殺菌可能範囲で温度や時間を設定する。
<5.巻締め>
脱気終了後、速やかに巻締め機(セミトロシーマー)で巻締めする。
<6.殺菌・冷却・拭き上げ・製品化>
レトルト(圧力容器)を用いて110℃で45~50分間殺菌をします。
殺菌終了後は水を張った水槽で冷却しますが、冷やしすぎると缶の表面が結露し、錆の原因となる可能性があるので、常温まで冷まします。
<中学生のみなさんへ>
食品科学科で一緒に勉強しませんか!?